焼き締め陶芸

焼き締めの伝統と魅力

 備前焼、伊賀焼、信楽焼、常滑焼は、焼き締め陶芸の代表ですが、実際、ほとんどの製品が焼き締めのみが技法として用いられているのは、備前焼である。焼き締めとは、釉薬を使わずに、穴窯、登り窯などで焼く手法ですが、薪を使うこと、焼き時間が長いこと、多量生産に向かないこと、製品としては、均一性のある製品ができないことなどから、ガス、石油を用い、釉薬をかける手法が主となっていきました。しかしながら、陶芸を齧った方なら、おわかりとは思いますが、穴窯作品は、想像もできない、自然釉がかかり、味わいのある作品が焼けることから、一度は試したい焼き方です。同様に私もその魅力にとらわれ穴窯を造り、化学しながら作品のできをコントロールしています。焼き締め陶芸での変化、魅力を下記に記載しました。

ビードロ

 燃焼した 薪の灰が多量にかかり、ガラス状になり、流れ、玉となったもの

胡 麻

 降りかかった、薪の灰が 溶けて 胡麻のような模様となったもの

牡丹餅

 道具土などを置いて焼くとその部分に、灰がかからないため、炎と灰の影響うけず素焼きに近い色の状態が残る

灰かぶり

 燃焼している薪近くにて 焼いた場合に、おきに埋もれて焼けたため、灰が溶けきらない状態にて焼けたもの

緋 色 

 NHK朝の連続テレビ小説「スカーレット」は緋色のことです。土の中の鉄分が 炎の 温度、酸化還元の状態などで 焼物の景色を作っていきます


 焼き締めは、陶器を焼く方法の一つで、釉薬を使う技法ができる以前は、すべての焼物は、焼き締めで作られていたと言っても過言ではない。登り窯や穴窯が使われ、備前焼、信楽焼が有名である。登り窯に比べ 穴窯は、非効率的=すなわち 多くの薪と時間を要する点において、実用的な意味で、登り窯が主流となった。しかし、穴窯は、薪の恩恵である灰と長時間あてられる、炎が、陶器に描く「表情」「景色」が、陶芸を齧った者のあこがれになっている。
北村幸雄作品展 ギャラリー82の出品作品は、小型であり、煙が薪ストーブより少量で短時間で窯焚きができる「無煙薪窯」にて作陶したものが中心です。炎と灰からの 偶然を必然へと創造する意義を感じていただけたら幸いです。

北村幸雄作品展

 ギャラリー82 出品作品 2003年